受験の決意〜受験手続き
この頃は大型ダンプの運転手をしていました。1日200〜450Km年間80,000kmくらい走っていました。毎日忙しかった割には積み荷の順番待ちとか、雨天が続くと仕事がなくなり、結構、無意味な時間を過ごしていました。違反点数等の関係と年齢的なことを考え転職を考え、以前の建築関係に相談したら、2級建築士の資格を取ってくれば考えると言われました。早速、本屋さんに行き、受験用の参考書を立ち読みして、受験資格(実務経験)はギリギリOKでした。学科4科目は科目合格制度があり、全部合格して製図試験を受験出来る事がわかりました。過去問を見たら何とかなりそうだったので、解説の充実した過去問集1冊と建築基準法の本を購入しました。仕事中も暇な時間に過去問とその解説を一生懸命暗記しました。しかし受験するまでの手続きが大変でした。当時は受験願書を入手するのも一苦労でした。しかも、受付が福岡市でした。記載事項も多く、特に、実務経験欄が詳細な記入が必要で、証明者の印鑑も必要でした。指定日に手続きに行くと、びっくりするくらいの行列が出来ていました。前に並んでいた人に聞いたら、昼までに受付室内に入れて、手続き完了は16時くらいになるよと言われました。そして、室内に入れたら、事前チェックが有り、初めての人は殆ど記載ミス・添付書類の不備で受付官のところまでたどりつけないと、つけたされました。実際あわてて書類を抱えて出て行く人、公衆電話にも列が出来ていました。事前チェックでは、実務経験の内容の記載を一部訂正しなさいと言われ、その場で訂正してOKでした。何でチェックに引っ掛かる人が多いのか聞いたら、実務経験の記載内容が辻褄が合わない・証明者の印鑑が不適当・他人(事務員さん等)が代理で来ているので、記載内容に即答出来ない等の事例が多いと教えて呉れました。何とか受付完了し、自宅に戻ったのは夜でした。2年ぐらいで学科を攻略するつもりでしたが、この苦労を考えると1回で全科目合格に目標を変更しました。
学科試験
友人(建築士有資格者)に相談したら、『無理だよ。』の一言でした。試験日まで頑張り、実際受験したら、意外と手応えが感じられました。受験に際して、分からない問題は最初から3と回答すると決めていましたので、時間は余りました。(分からない問題が多かった。)結果はなんと全科目合格でした。
製図試験
考えてもいなかったので問題が発生しました。設計製図の経験はもちろん製図板・T定規すら持っていなかったのです。前述の友人に再度相談したら、君のような立場で全科目合格は奇跡だ。お祝い代わりとして製図の基礎を教えてくれたうえ、適当な参考図面を頂き、製図用具も一式貸してくれました。受験日になりましたが、全く自信も可能性も有りませんでしたが、とりあえず、試験の雰囲気でも実際に体験すれば、次回の為になると思い、試験場に行きました。室内に入ると、半数以上の人が来ていて受験準備校・会社の同僚・高校の同窓生とおぼしきグループで試験について話し合っておられました。内容は高度な話で理解できませんでした。私は当然知人もなく机に着席し、隣席のグループの話を聞いていたら、受験準備校のグループらしく絶対に不合格になる条件について再確認とその内容について話し合っていました。つい聞き耳を立てていたらよかったらどうぞと、仲間に入れてくれました。それによると、
@図面の未完成
A指定条件違反(製図試験の概要は事前に公表されていました。)
B面積オーバー
C床面積・建築面積・建ぺい率の計算間違い
D図面の汚れ
非常に参考になりました。思い切ってモジュール(基準寸法)は決まっているんですか?と質問したら、問題に指定が無ければ、常識の範囲でOKだとの事でした。実務では1820・1910・1970とかになるが試験は1800で書いた方が部屋数と計算で端数が出ない等の利点が有ると教えてくれました。
製図の試験が開始されました。その時、ある考えが浮かびました。それはmモジュールの採用です。図面は1/100ですから基準寸法の2000が図面上では20mmになります。部屋数さえ確保出来れば、描きやすいし、面積計算にも端数どころか、小数点すら出ません。検討の結果部屋数はクリアできたので、これでやる事に決めて作図を始めました。自分でも意外なほどスムーズに出来て、これなら何とかなるのでは思えました。この図面が最初から最後まで完成させた初めての図面でした。試験終了後、隣席の人から君は何か変な描き方をしていたね。と尋ねられました。実はmモジュールで描いたと言ったら、そんな事が有効なら自分達もこんなに苦労はしないよ。無謀な試みだね、と言われてしまいました。心の中に芽生えかけていた、もしかしたらと言う考えが崩れ去りました。帰宅後、来年こそはと思い、再挑戦の計画を立て、友人にも報告して再度の応援を依頼しました。意外にも基本的には考え方としては間違っていない。との事でした。実務でも材料の無駄が多くなるので、数は少ないけど、実際に有るとの事でした。再び、小さな希望の灯がともり、とりあえず、発表を待ちました。結果は何と合格でした。設計については殆ど何も知らず、受験準備校にもいかず、過去問一冊で製図試験まで一発合格したのです。この合格が今までの数多くの経験上でも最高最大の喜びでした。文章も長くなりましたが最後まで読んで戴きありがとうございました。
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